鉄筋曲げ加工の基本と注意点|守るべきポイントを解説
「鉄筋って何のために曲げるの・・・」
「鉄筋を曲げる時に気をつけるポイントを知りたい・・・」
「鉄筋ってさびても大丈夫かな・・・」
建築物を作る際に鉄筋を曲げる作業は目立ちませんが、非常に重要です。
なぜなら、建築物の安全性と耐震性を確保するため大切な工程で、この作業品質が低いと外観の美しさにもかかわってきます。
そこで今回は鉄筋を曲げる工程を詳しく解説します。
▼この記事でわかること
- 鉄筋を曲げる目的
- 鉄筋を曲げる手順
- 鉄筋を曲げる重要性
鉄筋の曲げ加工に関する知識を身につけることで、作業の質を高め、安全な環境を保つことが可能です。
最後まで読んで、鉄筋加工マスターになりましょう。
鉄筋を曲げる基本

建築物には多くの鉄筋が使われています。
では、鉄筋はすべて真っすぐなのでしょうか・・・
答えは「ノーです」
建築の際は必ず、鉄筋を曲げる作業が必要です。
ここから、鉄筋を曲げることにフォーカスして解説します。
鉄筋を曲げる目的
鉄筋を曲げる目的は、建築物の構造と安全性を確保するために不可欠です。
▼鉄筋を曲げるおもな目的
- 形状化
- 建築物の設計図面に従い、鉄筋を必要な形状に曲げる。
- 強度の強化
- コンクリートの芯に適切に配置された鉄筋で、建築物の強度を高める。
- 骨組み構造
- 建物の柱やはりなどを支えるために、直線状の鉄筋をL字型やコの字型に加工する。
- 設計の実現
- 設計図に従った建築物の形状を実現し、安全性を保証する。
鉄筋の曲げ加工は、建築物の構造と機能を支える重要な工程で、建築物の設計図面に基づく正確な加工が必要です。
確実に実行することで、建築物は必要な強度と安全性を備え、設計の意図に沿った形状を実現できます。
鉄筋の種類
鉄筋は丸鋼と異形鉄筋(異形棒鋼)の2種類があります。
現在はほとんど、異形鉄筋が使われており、丸鋼を使用する頻度はほとんどないのが実情です。
丸鋼
丸鋼は、「SR235」と「SR295」の2種類があります。
しかし、現在ではほとんど使われることはありません。
異形鉄筋
異形鉄筋は、「SD295A」「SD295B」「SD345」「SD390」「SD490」の5種類があります。
▼品番ごとの鉄筋に関する特性
品番 | 降伏点または耐力 | 引張強さ | 伸び |
SD295A | 295以上 | 440~600 | 16以上、17以上 |
SD295B | 295以上 | 440以上 | 16以上、17以上 |
SD345 | 345以上 | 490以上 | 18以上、19以上 |
SD390 | 390以上 | 560以上 | 16以上、17以上 |
SD490 | 490以上 | 620以上 | 12以上、13以上 |
鉄筋は火に弱く、さびやすいという欠点がありますが、コンクリートで鉄筋を覆うことにより、鉄筋を火から守り、さびの発生を防いでいるのです。
鉄筋はコンクリートと組み合わせて使用することで、弱点を補い合い高い強度を実現しています。
鉄筋を曲げるための機械と特徴
鉄筋を曲げる機械と特徴を以下の表にまとめました。
機械の種類 | 特徴 |
電動油圧式 鉄筋曲げ機 | 油圧ポンプとワーク部一体化、現場での押し・引き曲げ修正加工可能、高強度鉄筋対応、先端部が旋回 |
鉄筋自動曲装置 | 複数角度の曲げ加工可能、特定のR曲げ加工、大量生産に適している |
鉄筋ベンダー | 曲げ角度の設定とスイッチ操作で曲げ加工、複数種類鉄筋径対応、小R曲げ用オプションあり |
表の3つの機械は、鉄筋の曲げ加工を効率的に行うために設計されており、建築土木工事現場などで広く使用されています。
機械を選択する際には、加工する鉄筋の「径や硬さ」「作業量」「現場の条件」などを考慮して適切な機械を選びましょう。
曲げ加工の基本的な手順
鉄筋の曲げ加工には、一般的に以下の基本的な手順があります。
- 長さの測定
- 鉄筋を曲げる前に、設計図面に基づき必要な長さを測定する。
- 鉄筋の固定
- 鉄筋ベンダーや万力などの道具を使用して鉄筋を固定する。
- 曲げ加工
- 鉄筋を固定後、設計図面に基づく角度で曲げる。手力や鉄筋ベンダー、パイプなどの道具を使用する。
- 角度の調整
- 曲げた角度が正しいかチェックし、必要に応じて微調整する。
曲げ方向に関する特定の基準はなく、鉄筋の強度には影響しないため、方向は自由に決められます。
この手順を適切に踏むことで、設計図面に沿った鉄筋の曲げ加工が可能になるでしょう。
鉄筋を曲げる際の注意点

ここからは鉄筋を曲げる際の注意点について解説します。
気をつける点は大きく2つ
- 材料への影響
- 安全性の確保
詳しく解説します。
材料への影響
鉄筋を曲げる際に、材料への配慮も必要になります。
以下の4つのポイントに注意してください。
- 冷間加工の重要性
- 鉄筋の曲げ・切断には冷間加工(常温加工)が必要です。熱を加えると強度が変化し、耐力低下の原因になるでしょう。
- 曲げ半径の管理
- 曲げ半径は「コンクリート標準示方書」規定か、それ以上の半径でしましょう。
- 曲げ加工後の曲げ戻し禁止
- 原則として曲げ加工後の鉄筋を曲げ戻してはいけません。
- 破断のリスク
- 曲げ加工部での破断は加工硬化によるもの。極端に小さい曲げ半径は破断リスクを増加させます。
これらの注意点を頭にいれ、鉄筋の曲げ加工は適切な方法と管理のもとでしましょう。
適切な曲げ加工により、材料の性能を最大限に活用することが可能です。
安全性の確保
鉄筋を曲げる作業は危険が伴います。
安全性確保には、以下のポイントが重要です。
- 機械や工具の安全点検
- 損傷や異常のチェック
- 電源ケーブルや配管の接続チェック
- 安全装置の作動チェック
- 定期的な点検と記録の管理
- 保護具の着用
- ヘルメット
- 安全メガネ
- 安全靴、手袋
- 長袖上着
- ズボン
- 作業者の経験と知識
- 経験豊富な作業者の配置
- 未経験者は十分な訓練後に作業
- 作業手順の事前チェック
- 周囲の安全への配慮
- 作業場所の隔離と立ち入り制限
- 不要な物の整理と片付け
- 音や振動への注意
- 作業内容や注意事項の周知
以上の安全対策を適切に実施することで、鉄筋曲げ作業中のケガや事故を減らせるでしょう。
安全第一の作業環境の確保が必要です。
高品質に曲げるポイント

鉄筋を高品質に曲げるには、つぎのポイントを意識してください。
- 角度を計算する
- さびとの関係性を知る
個別に解説します。
曲げ角度を計算する
曲げ角度は、あらかじめ計算しておくと、正確な角度で曲げられます。
計算する際はつぎのポイントに注意しましょう。
- 鉄筋の直径
- 鉄筋の直径が大きいほど、曲げる際に必要な力も大きくなります。
- 曲げる角度
- 通常、90度や135度など、特定の角度で曲げられます。
- 角度によって曲げ半径も変わります。
- 曲げ半径
- 曲げ半径は、鉄筋の直径に基づいて決定されます。
- 建築基準法や設計基準に従って、最小曲げ半径が定められている場合があります。
- 材質の強度
- 鉄筋の材質によって、曲げやすさが異なります。
鉄筋を曲げる作業は専門的な技術を要するため、経験豊富な技術者の知見を参考にすることをお勧めします。
曲げ加工とさびの関係性
鉄筋の曲げ加工とさびの関係性について、以下のポイントが重要です。
- さびた鉄筋の強度
- 表面がさびている鉄筋は、新品よりも強度が高いことがある。
- コンクリートとの絡みやすさにより、基礎が強化される。
- コンクリートの保護効果
- コンクリート内のアルカリ性が、鉄筋の中までさびるのを防ぐ。
- コンクリートと鉄筋の相性は抜群で、組み合わせが強度向上に貢献する。
- さびの適度さ
- 鉄筋の表面に適度なさびがあることが望ましい。
- コンクリートとの付着強度が高まる。
- 過度にさびたり、腐食した鉄筋は使用不適。
さびた鉄筋は、適度なさび具合であれば強度向上に貢献し、コンクリートとの組み合わせにおいて有効です。
ただし、過度のさびや腐食は問題となるため、さびの状態には注意が必要です。
まとめ
今回は鉄筋を加工して曲げる作業を詳しく解説しました。
建築物の安全性と耐震性を保証するため、鉄筋曲げ加工は不可欠な工程です。
現状、使用される鉄筋は「異形鉄筋」で強度や伸びなど異なる特性を持つ複数の種類があります。
適切な鉄筋の種類を選択することが重要です。
鉄筋を加工して曲げる工程は長さ測定、固定、加工、角度調整の手順があります。
曲げ半径の管理や曲げ加工後の曲げ戻しを避けることが、品質を保つ上で重要です。
また、鉄筋曲げ作業は危険を伴うため、機械の点検、保護具の着用、作業者の経験と知識を活用し、周囲の安全に配慮することが必要です。
この記事を通じて、鉄筋曲げ加工の基本、種類、手順、安全対策、品質向上のポイントを理解し、より高品質な建築物の製造に貢献できます。
鉄筋加工のマスターとして、建築物の安全性と美観を保つ重要な役割を果たしましょう。
豊富な経験と確かな技術力の【株式会社高栄鉄筋】が未来も鉄筋業界をリードします

創業から30年以上の歴史を持つ「株式会社高栄鉄筋」は、鉄筋工事の専門家として業界をリードしています。
私たちの旅は昭和59年に始まり、その時から技術の精度を高め、さまざまな建築プロジェクトで高い評価を得てきました。
▼株式会社高栄鉄筋4つの重要ポイント
- 技術力
長年にわたる、経験に裏打ちされた高い技術力をもち、どんな工事でも高い品質をお届けします。 - 指導力
経験豊富な職人が迅速かつ的確な指示をだし、作業するすべての人の安全を最優先で守ります。 - 挑戦し続ける現場
難易度の高い現場作業も、つねに挑戦し成功させてきました。他社に断られた際は一度ご相談ください。 - 神は細部に宿る
どんな細かい作業も手を抜かず、細部まで品質にこだわり続けます。
変わりゆく世の中に柔軟に対応し、技術と技能の向上に絶えず取り組んでいます。
お客様への誠実な施工を心がけ、信頼できる関係を築いてきたことが私たちの誇りです。
今後も、安全性と品質の向上を追求し続けることで、さらなる発展を目指します。
このブログを訪れてくださった皆様へ、引き続きのご支援とご指導を心よりお願い申し上げます。
\無料で相談してみる/